Ｏさん

今から書くことはフィクションです。
架空の事柄なので、まかり間違って真に受けたりはしないでください。

知り合いに、Ｏさんという人がいて、
最近、そのＯさんの家が火事で全焼してしまったのです。

その連絡を受けた整備工場の社長は絶句していたのですが、
僕はＯさんのことを気の毒に思って絶句しているのだろうと
思っていました。

ところが、Ｏさんは２年前にも自分の持ち家が全焼していて、
その後家を新築していい車を買ったのでした。

もちろん、この話は僕の想像で書いているのです。
僕の知り合いに、２年で２度も家が全焼する不幸な人は、
多分いないと思います。

今回も、家が焼けた翌日には、車に乗ってどこか遠くへ
遊びに出かけてしまったということなのです。

火事も２度目には慣れっこになるのでしょうか。

もちろん、最近僕は空想癖の傾向が強く、毎日夢の中です。
夢と現実の区別もあやふやです。
別に変な薬をやっているわけではないのでお許しください。

ところでＯさんには奥さんと、二人の子供と、そして愛人がいるのです。

ごく一般的な家族構成ですね。

Ｏさんはサラリーマンですが、愛人にはスナックを、店ごとぽんと
買ってあげて経営させているようです。

もちろん、即金、名義は愛人のもの、だと思います。

整備工場の社長は、「Ｏさんのような人がいたら、二度とう
ちの工場に来て欲しくないなあ、うちに警察が来たりしたらいやだ」

と言っていますが、Ｏさんは架空の人物なのでその心配はありません。
二度とこないと思いますよ。