ゴールデンウイーク

その後、架空の人物、Ｏさんは整備工場の社長の空想の中では
ろくにテスト走行もせずに文句を言う注文のうるさい客だったので、
ちょうどよく厄介払いができたようで、僕も社長も無事に
現実社会にもどることができたのです。

現実に戻ったところで、ゴールデンウイーク前に
納車しなければならない車たちの整備が終わったので、
僕はとりあえずお手伝い終了となり、

終わらないゴールデンウイークに突入しました。

そう、ゲストハウスの掃除の仕事をしていたのですが、
管理会社が給料をくれないので辞めました。

僕自身はすごくまっとうな理由で辞めたと思っていたのですが、
ある日曜日の朝、管理人の奥さん（日本人）が
怒鳴り込んできたのです。開口一番、

「何の相談もなく勝手に辞めて、わたしたちはどうなるの！！」

びっくりです。とにかく驚きました。

でも、「わたしたちはどうなるの！！」のところで
少し笑いそうになりました。

要するに、僕が掃除をやめたら彼女たちの負担が増すと
言いたいらしいのですが、たかが掃除のことで、彼女の
一家が切実な苦境に立たされるような勢いで真剣に
怒鳴っているのです。

アタマおかしいと思いました。

僕は自分のことしか考えないことにかけては人に負けないと
思ってきましたが、かなわない人物が現れました。

僕は給料もらってないのだからタダ働き、ボランティアです。
それ以前に家賃払っているのだからお客様です。

まさか怒鳴られるとは。

管理人は家賃がタダになるので、タダでは住みたいけど
掃除はなるべくやりたくないというのが彼女の頭の中なのです。
（管理人は家賃タダ、僕は管理人ではなく掃除する人という
名目で雇われたはずだったので、給与制の予定でした）

世の中にはいろんな人がいるものだと、まだまだ狭い世界しか
知らない世間知らずな僕にはいい勉強になりました。

ところで、終わらないゴールデンウイークはどうすればいいでしょう？

オーストラリア大使館に雇ってもらおうと思って秘書の
募集に応募しましたが、レジュメの自分の経歴のところや、
現在の職業のところでかなり困って「個人事業主、投資家」
などと書いて出しましたが一月たっても返事がないので
確実にだめでしょう。

終わらないゴールデンウイークは、お金が捨てるほど
たくさんあれば、きっと終わらなくても困らないでしょう。

なので、捨てるほどお金がほしいです。